みなさんこんばんは。
楽器を日ごと吹き続けている時、ふと「今日はなんかうまく吹けない…」「いつも鳴るはずの音域が外れてしまう」「楽器に息が入っていかない…」などの小さいけれど確かな違和感を覚えることがあります。
物理的に壊れている時(大事なところが凹んでいる、ハンダが外れているなど)、アンブシュアや奏法を改善中の時だったらそれぞれ明らかな対処法といいますか、やるべき事が見えているのでまだいいのですが、特に何も変えていない、楽器そのものの状態(見た目にわかるほどの)で悪いところが見当たらないのに調子がおかしい、となると不安になりますよね。
そして気持ちと実際の演奏へのリンクは根強いもので、不安な気持ちになるとそのまま負のスパイラルへと陥ってしまいます。
「コレってもしかしてスランプ…?」
しかし!!!!
ここでスランプかもしれない…自分の奏法がおかしくなってしまったのかもしれないとジャッジしてしまう前に、確認してほしいポイントが4つあります。
僕の経験上、突如よぎった不安は大体この4つのうちのどれか、または複数に当てはまっていて、それらを解決することで杞憂に終わることがほとんどです。
それでは早速、見ていきましょう。
※あくまで僕が解消できた一例になりますので、可能性は十分にあるにしてもコレを試せば必ず解決することを約束するものではないことをご承知おきください。
1.オイルを差し忘れていないか
いやいや、オイルは差してるよ!(笑)ってなる方も多いと思います。
では、ホルンの操作に関わるところ全てに差せていますか?
ちゃんと差す場所に適した粘度のオイルを使っていますか?
ロータリーの中はもちろん、キャップを開けた時の軸、裏のスピンドル、レバーアクションがボールジョイントの場合はベアリング部分、レバーのバネに至るまで、です。
どこかがズボラになってたかも…と思う人は上の箇所のうち最近差した場所以外を全て差してみましょう。
また、この際にオイルを差す頻度についても見直してみましょう。
・ロータリーオイル
ピストンのバルブオイルのように演奏前に差すのが望ましいとされていますが、楽器を出すごとに差しているとグリスがロータリーオイルで流されてしまうので、吹く頻度がそこそこ多い人の場合は2週に1回程度くらいでいいと思います(楽器の状態にもよります)。
吹くのが週に一回、月に数回…という方は楽器の保護の意味も込めて吹く前としまうに前に差しましょう。
・ロータースピンドルオイル
キャップを開けた時の軸と裏のスピンドルの隙間部分に差すオイルです。こちらはグリス部分に直接関わらない部分ですが、だいたい2〜3日に1回くらいの頻度で差しましょう。差しすぎはその粘性からロータリーの操作性を損ねてしまいますのでほどほどに。
・レバーオイル
レバーのバネ部分に差すこのオイルは粘度が高いので頻繁に差しすぎるとかえってロータリー操作が重くなるので2〜3週間に1回でいいでしょう。ただ差さなさすぎるとそれもそれで操作性に影響が出るのである程度のスパンをもって差すことは大事です。
特にロータリーオイルとスピンドルオイルはロータリー本体に直接関わり、金属同士の隙間を埋め、振動を伝える役割も果たしているので重要です。
2.マウスパイプ(と抜差管)を掃除する
マウスパイプは長くてゆっくり湾曲しているので徐々に広範囲に汚れが溜まっています。
そのため他の管と違って違和感に気づくのが遅くなりがちです。
しかし確実に吹奏感に影響する箇所なので、長らく掃除してない…と思った方はフレキシブルクリーナーと中性洗剤で洗いましょう。
大きく往復するだけでなく、小刻みに往復してまんべんなく汚れを取りましょう。
ちなみに水道水などの低い温度の水でなくぬるま湯で洗うと汚れが落ちやすいです。洗濯と一緒ですね!
※熱すぎる温度は楽器を痛めるので避けましょう。火傷の危険があるだけでなく、ラッカー楽器の場合はラッカーが弱い部分から剥がれる可能性があります。
ついでにマウスパイプに近いメインチューニング管とFチューニング管も洗っておきましょう。全ての管を洗う余裕はなくても、この3つを清掃しておくだけでもかなり変わってきます。
そして洗浄後はスワブでしっかり水分を取りましょうね。
3.マウスピースの中を洗浄する
マウスピースも日々の水洗いだけでは取りきれない汚れが中に徐々に付着していきます。
特にホルンやトランペットなどのスロートやバックボアが他の楽器より狭いマウスピースは、そこに汚れが溜まるだけで息の流れが変わってしまいます。
大きい音を吹く時は半ば力技的な感じでゴリ押しできるのですが、小さな音や高音を吹く時は圧力やスピードがダイレクトに影響を受け、かなり不安定になってしまいツボにハマらない状態になってしまいます。
僕はつい最近高音域がてんでダメでスランプか…と思っていた時にこの可能性に行き当たりしっかりマウスピースを掃除した結果、前の吹き方で元通り当てる事ができました。
マウスピースも定期にぬるま湯で洗ったり、マウスピースブラシで洗浄する、スワブをしっかり通すということをしましょう。
ちなみにマウスピースブラシで洗浄するときは、必ずシャンク側から入れるようにしましょう!
4.グリスをしっかり塗り替える
グリスもあまり塗って無い人はいないかと思いますが、楽器のコンディションに合った粘度のグリスをしっかり塗れているかどうかで吹きやすさが変わってきます。
グリスについては前回のこちらの記事でも解説しています。
グリスを塗る事で抜差管の保護につながるのはもちろん、気密性をキープできるので適切な息のコントロールができます。
グリスがスカスカだと体感はしづらいほどの微妙な隙間から空気が漏れ出ていることになり、これが息のロスにつながってしまいます。
前のグリスをしっかり拭き取り、新しいグリスを適切に塗ることで吹奏感の改善につながる可能性があります。
・それでも改善が見られない場合は
先ほども書きましたが、僕の経験上一時的な楽器の不調による不安は上記のいずれかを改善したら解消される事が多いです。
ただしそれは普段のお手入れが行き届いていないことの証明になるのでそれはそれで凹みますが…(^_^;)
しかし、これらを試しても一向に改善の余地が見られない場合は楽器本体のどこかにトラブルが発生しているか、奏法に問題が生じているため前者はすぐに楽器屋さんへ、後者はレッスンの講師に助けを求めましょう。
僕もレッスンは随時受け付けていますので、気になる方はご連絡ください。(ホームページトップから「Lesson・Support」から詳細をご覧になれます)
根本的な解決が必要な場合もありますが、小さな悩みがだんだん自分を縛ってしまう前に、こんなことで(!!)解決できたら非常に救われると思いませんか。
逆に言えば上記に書いたことを習慣化していれば演奏に違和感・不調を覚えた時の原因を一気に絞ることができます。
やっぱり日頃のお手入れは大事ということです… ( ˘ω˘ )
僕は昨日の朝練で3のパターンに当てはまり、お手入れ不行き届きからの灯台下暗し事案に凹みました…笑
最近高音域がてんでダメでまたスランプか…と悩んでいたけど、マウスピースの中の汚れがふと気になって昨日の晩しっかり洗ってさっき吹いてみたら今までの吹き方であっさり感覚を取り戻せた。
— 嶋﨑 海 𝖲𝗁𝗂𝗆𝖺𝗌𝖺𝗄𝗂 𝖪𝖺𝗂 × 𝖧𝗈𝗋𝗇 (@Kai_hornist7) May 10, 2021
まーた灯台下暗し事案…こういう度にかつての自分の手入れに対する愚直さは何だったのかと思わされます😓
みなさんも不安に駆られた時は自分にすぐ非を向けるだけでなく、楽器の様子も気にしてみてくださいね!
それでは。
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