みなさんこんにちは!
お久しぶりの今回のブログでは、新年度になったということで、ホルンのお手入れについて書いていきます📯
実は2019年の7月にも同じような記事を書きました。↓
今回はおすすめのアイテムを更新していたり、その他ちょこちょこと変更点があるので、【改訂版】として再構成したものをお届けします!
◆はじめに──お手入れの大切さ
ホルンだけでなく全ての楽器に言えることですが、上手くなるには練習だけでなく楽器を上手に丁寧に扱えることも重要です。つまり、普段いかにメンテナンスをしているかがそのまま演奏の上達に直結してきます。
ちゃんとメンテナンスされていない楽器を吹くことはそれだけでかなりのストレスとなり、本来ならクリアできる悩みもなかなかクリアできなかったり、悪い癖がついてしまったりします。
かと言って長い間手入れをしないで、ある日ようやく重い腰を上げてしっかり手入れをすると、今度は汚れが溜まっていた状態に慣れていたのが急に綺麗になったことで違和感を感じ、それに慣らしていくのに時間を取られてしまいます。あるいは「掃除したから調子悪くなってスランプになった…」と感じる人も出てくるかもしれません。
でもそれって定期的な手入れを怠っていなければ起こり得なかったことなので、そんな風に楽器のせいにしては×です。楽器を労ってあげられてない自分のせいなんです。
定期的な手入れをすることで上達に悩む原因を極力まで減らし、他のポイントに目を向けることができます。あるいは更なる手助けになるかもしれません。
(経年による金属疲労など、マメに手入れしていたとしてもどうしても避けられないトラブルはあります。そういった時は素直にリペアの方に出して調整してもらいましょう)
自分の楽器と上手く付き合っていくために、ぜひお手入れオバケになってください(笑)
◆ホルンのお手入れに必要なモノ
ホルンをはじめとする金管楽器は、大別するとこんな感じでお手入れ用品が必要になります。
・オイル
・スライドグリス
・スワブ
・クロス
・ブラシ
オイルとスライドグリスは擦りあう金属どうしの保護や潤滑の他に、使う種類によって音の響き方にも影響してくるアイテムです。
スワブは抜差管やマウスハイプの中の水分を取るためのアイテム。管内に水分が残っていると緑青といった錆が発生したり、管を痛める原因になります。
クロスは楽器表面の汚れを拭き取るための布。手汗などが楽器に付いたままだと見た目が不衛生なのはもちろん、放置していると管を痛める原因になります。最悪の場合管に穴を開けてしまうことも…(ここまでなることは滅多にありませんが、学校楽器など古い楽器の場合は可能性が高くなります)
ブラシは管内とマウスピース両方にあります。スワブを通しているだけでは取れない汚れを、ブラシを使ってしっかり取り除くことで息通りの良い楽器になります。
では、それぞれのお手入れ用品についてもう少し詳しく見ていきましょう。できればここに書いてあるものは最低限揃えていきたいところです。スワブとブラシ以外については僕個人としてのおすすめ品も紹介していきます!
◆オイル
ホルンは他の金管楽器と比べて、差すオイルの種類や場所が割と多い楽器です。中には一本で全ての場所に使えるオイルもありますが、差す場所で求められる粘度が変わってくるので、なるべく使い分けましょう。最大手のYAMAHAもロータリー楽器用に3種類のオイルが販売されています。
ロータリーオイル(ローターオイル)
ホルンの心臓部であるロータリーバルブ用のオイルです。抜差管を抜いて、外管からロータリーバルブに向けて注油します。
バルブのスムーズな動きと保護のためにとても重要なオイルですが、注意しないといけないのはトランペットやユーフォニアムのバルブオイルのように毎日差すものではないということ。
あまり頻繁に差しすぎると抜差管についているグリスなどがロータリーの方へ流れ込み、そこで詰まってしまってロータリーが動かなくなってしまう可能性があります。
どちらかというと後述するロータリーの軸の方をマメに差すことが大事で、ロータリーについては1〜2週間に1回や、楽器を洗った後、長期間吹かなくなる前や1ヶ月単位で久しぶりに吹く時に差すのが良いです。
僕のおすすめはアイルリッヒから出ている「ロータリー&ピストン」。
洗浄効果があり、ロータリーに付着した簡単なゴミなどであれば流してくれる優れものです。微細なゴミでも塵も積もれば何とやら…なのでありがたい機能ですね!
石油系寄りのオイルなので、やや独特なニオイはあります…
ヤマハのオイルだと、「緑色のラベル」がついたボトルになります。
ベアリングオイル
ロータリーのキャップを開けた後の軸や、軸裏に差すオイルです。また、レバーのアクションがヒモ式ではなくメカニカル式の場合、レバーとロータリーをつなぐボールジョイントに使うこともあります。
(写真の黄色、緑色の矢印のところに差します)
毎日レベルで頻繁に吹く場合は、まずここのオイルを定期的に差すことを心がけましょう。2〜3日に1回、長くとも1週間に1回のスパンで差してください。
差した直後と数日経って少し揮発した後で吹奏感が割と変わるのでこまめに差すことで吹奏感を維持することができます。
先程説明したレバーアクションがメカニカル式の場合、ボールジョイントに適度なオイルが無いとカチャカチャ音が鳴ってくることがあるので、それを防ぐ意味でも差していきましょう。
僕のおすすめはヘットマンの「ベアリング&リンケージ13(13.5)」、JMルブリカントの「ベアリング&リンケージオイル13(13.5)」です!
ヘットマンは最近まで市場に出ている分で終わりという話が出回っていましたが、新容器になって帰ってきました!オイル持ちもよく、音も体感響くようになるのでオススメです。
JMルブリカントは日本で見られるようになってまだ2〜3年ぐらいですが、こちらもオイル持ちが良いです。音はヘットマンより少ししっとりするかなあといった印象です。
僕はキャップを開けた軸にJMルブリカントの13番、軸裏にヘットマンの13番、ボールジョイントにJMルブリカントの13.5番を使用しています!
ヤマハのオイルではグレーのラベルで「ロータースピンドルオイル」と書かれたものが該当します。
レバーオイル
各レバーのバネに差すオイルです。ここに差すオイルが1番粘度の高いオイルになります。粘度が高いことでバネを保護します。
ここに差すオイルは基本的に1個前に紹介した「ベアリングオイル」と併用可能です。こまめに差しすぎると重たくなってしまうので、2,3週間くらいに1回くらいの頻度でいいと思います。もし軽めのオイルを使う場合はその分揮発も早いのでもう少しスパンを短めにするといいでしょう。
僕のおすすめはベアリングでも紹介した、JMルブリカントの「ベアリング&リンケージオイル13.5番」です。
ヤマハだと紫のラベルで「レバーオイル」と書かれたものです。
◆グリス
抜差管に塗る潤滑剤です。金属どうしの摩耗を防いだり、音の振動の伝達にも影響するアイテムです。様々な種類が発売されており、オイル以上に音色や吹奏感が変化します。
グリスには大きく分けて「容器から指ですくって塗るタイプ」と「スティックやノズル付などで手を汚さずに塗れるタイプ」があります。さらに前者はクリーム状、後者はジェル状のものが多いです。また、化学合成で作られたグリスは季節や気温の変化に強く、塗り替えの頻度が少なく済むメリットがあります。
そしてこれがグリスを塗る上で1番大事なことなんですが、「グリスを塗る前に抜差管に付いている前のグリスをしっかり拭き取る」
重ね付けをすればするほど前のグリスが固着していき、管の抜き差しがしにくくなります。必ず拭き取ってから新しいグリスを塗るようにしてください。
さらに、拭き取る時もただ単に拭き取るのではなく、「オイルグリスクリーナー」と呼ばれる液体を使いましょう。
ヤマハから発売されているモノですが、これは抜差管に付いた前のグリスやホコリ・ゴミなどを溶かしてくれます。
そうしていわばすっぴんになった抜差管に、新しいグリスを塗ってあげるワケです。
グリスは塗らなさすぎもいけませんが、塗りすぎも禁物です!
塗りすぎると膜のように楽器本体の振動を妨げてしまい、楽器本来の響きが損なわれてしまいます。
僕が楽器を調整してもらった時に教えてもらったのは、「抜差管を動かした時にわずかに金属どうしの擦れる音が聞こえるぐらい」の量。"わずかに"というところがポイントです。
これが結構聞こえる状態だとスカスカで、逆にあまり聞こえずヌル〜っと動くような状態は塗りすぎだそうです。
塗る頻度はその人の演奏頻度で変わってきますが、大体1ヶ月に1回や上記のように擦れる音が大きくなってきた時に塗り替えるのが良いかなと思います。また、オイルによってグリスが溶けて緩くなることもあるのでそういった時も塗り替えましょう。
あと、野外で演奏した後も抜差管の汚れを拭き取ってグリスを塗り替えましょう。特に風の強いところで演奏した後は、砂やホコリが付着していて、抜差管を動かすとシャリシャリと音がします。そのままにしておくと抜差管に細かい傷が増えていき、管が緩くなる原因になったり、ゴミがロータリーの中に入って動きが悪くなってしまう可能性があるので放っておかないようにしましょう。
何十年も前の楽器で管が緩すぎて、普通のグリスじゃ抜差管が落ちてしまう場合はハードタイプと呼ばれる、まるで接着剤かのような粘度の激重グリスを使ってみると改善されます。その分抵抗が増えてしまいますが、機能性維持のためにはやむ得ないです…(もしくはリペアに出して膨らましをしてもらえれば普通のグリスでも大丈夫になる可能性があります)
僕のおすすめはバックのチューニングスライドグリス。赤色のジェルタイプのグリスで、通称「いちごジャム」と呼ばれています。
さらに僕はこれにヘットマンの「スライドジェルプラス7.5」を少量混ぜて使っています↓
バック単体だと少しふわっとしすぎる、かといってスライドジェルプラス単体は粘度が高く抵抗マシマシになってかえって吹きづらくなってしまう…そんな時に思いついたのがグリスのブレンドです。
バックにちょっとだけヘットマンを足すことで、音に適度な締まりが出て吹きやすくなりました。
まあでもこれはマニア(?)な方法なので、まずは1つのグリスを丁寧に使っていきましょう(笑)
◆スワブ
抜差管の中やマウスパイプの中の水分、汚れを取るのに使います。ヒモの先端におもりが付いてるので管を回して重力で入れた方と反対の方へおもりを出して引っ張ります。
特にマウスパイプはあまりにも手入れせず時が経ってから通してみた時、ゾッとする汚れを取ってくることがあります…
ご飯を食べた後にしっかり歯磨きをしてから吹いていればそこまで汚れが溜まらず頻繁に通す必要はないですが、気になる人は毎回ケースにしまう前に通しましょう。僕は1ヶ月〜2ヶ月に1回くらいは通すようにしています。
息抜け・音抜けが良くないなと感じ時にもマウスパイプ・抜差管にスワブを通してみることで改善されることがあります。
抜差管に通す場合、第3抜差管(1番大きい管)は管の曲がり方が急でスワブが詰まってしまう危険があるので使わないようにしてください。
◆クロス
楽器表面の汚れを拭き取って、輝きを保つために使います。カラーバリエーションも含めて色んなクロスが出ています。
黒色のクロスが舞台で浮きすぎないのでおすすめです。
1枚だけでなく、2,3枚あるといいです。
1枚はしっかり磨く用で、他は色んな汚れを拭き取るために雑に使える用として安めの物を用意しておくのがベター。
僕は普段はミクロディアのクロスを使っています。意外と少ない黒色があるのと、柔らかい感触が好きです。
◆ブラシ
マウスピースや管内を洗う時に使います。
どちらもヤマハのものがメジャーかなと思っています。
それぞれ、
マウスピースブラシS
フレキシブルクリーナーS
という名前で売られています。
フレキシブルクリーナーはブラシのヘッドが大きいのと小さいのが付いているので、管の太さに応じて使い分けます。
マウスピースは水で洗っているだけだと意外と取れない汚れがスロートに溜まったりするので、定期的に掃除しましょう。
フレキシブルクリーナーで管内を洗浄するのは、2〜3ヶ月に1回だとか、学生さんの場合は長期休みの期間中に洗うとかが良いと思います。
◆番外編──あると便利なモノ
ここではマストアイテムではないけど、あると便利なものを紹介します!
・ガーゼ、クリーニングロッド
グリスを塗り替える時にあると便利なアイテム。
ロッドにガーゼを巻きつけて、抜差外管の中に入れて汚れを取ります。
クリーニングロッドはいわゆるリコーダーの棒でも代用出来るモノで、持ってる方はそれを使っていても問題ないのですが、ベルがベルカットじゃなくワンピースベルの場合、第1〜第3抜差外管(ホルンの前側に付いてる管)を掃除する時少し難しくなるのと、気づかないうちにロッドの後ろ側をベルに当ててしまい凹ませてしまう危険があります。
そこでおすすめしたいのが、写真に載っているYAMAHAのクリーニングロッド(バルブ用)です。比較的安価で購入できますし、長さも短いのでワンピースベルでもぶつける心配が減ります。クロムメッキされた金属製なので安易に折れたりすることもありません。
ガーゼは各楽器メーカーが出しているものでもいいんですが、似たようなものが100均にも売っていますのでそれを買った方が安上がりです。
ただ、普通のガーゼではなく、周囲が縫われているハンカチタイプのガーゼの方がいいでしょう。
・トーンホールクリーナー
ヤマハから発売されている、木管楽器のトーンホール周りを掃除するために使うアイテム。
レバーのバネ周りに結構使えるんです!
レバーのバネ周りは日々差すオイルやホコリで割と汚れやすいです。そこでこれを使って取ります。
端の針金部分はまあまあ鋭利なので、楽器表面と自分を傷つけないように注意しながら使ってください!
正直な話、コスパはそんな良くないので、綿棒でも代用はできます👌🏻
いかがでしたか?
「うげえこんなに揃えないといけないのかあ…」と思ったかも知れませんが、これらでしっかりお手入れしてあげることで楽器も良い音・響きをキープできるので頑張ってやりましょう!
また、ヤマハからは「お手入れセット」と題してある程度まとまったセットが販売されているので、それを買って足りないものを補っていくのも手です。
マメなメンテナンスで、快適に演奏しましょう!
それでは!!
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